COLUMN / INFRA HEROES

港は「鉄道と電動クレーン」で進化する──米チャールストン1,800億円自動化と、競争力に悩む日本の港

港は「鉄道と電動クレーン」で進化する──米チャールストン1,800億円自動化と、競争力に悩む日本の港

サプライチェーンの再編を象徴する現場が、米サウスカロライナ州チャールストン港です。同港のリーザーマン・ターミナルでは2026年、6基の電動式レールマウント・ガントリークレーンを備えた新しい鉄道施設が稼働し、年間100万回の鉄道荷役をこなせるようになります。高速道路と荷役交通を分離する全長1マイルの専用道路も整備。第2期は2026年第3四半期に完成予定で、年間140万TEU(コンテナ換算)の処理能力と、直接400人・間接1,200人の雇用が見込まれています。

カギは「港から内陸へ運ぶ鉄道」

チャールストン港は、東海岸の主要コンテナ港の中で唯一、岸壁直結の鉄道を持たない港でした。ニューヨーク/ニュージャージー、サバンナ、ノーフォークが備える機能を欠いていたのです。州港湾局は総額18億ドルにのぼるターミナル自動化投資を進め、鉄道による輸送分担率を12%から2027年までに20%へ引き上げる計画です。電動クレーンによる脱炭素化と、鉄道シフトによる渋滞・CO2の削減を同時に狙う——港湾が「点」ではなく「物流ネットワークの結節点」として設計し直されています。

競争力低下に悩む日本の港

翻って日本の港湾は、国際的な地位の低下に長く悩んできました。かつて世界有数だったコンテナ取扱量は、釜山やシンガポール、中国の巨大港にハブ機能を奪われ、京浜・阪神の「国際戦略港湾」も伸び悩んでいます。背景には、自動化の遅れ、24時間稼働や荷役効率、内陸への鉄道・道路アクセスの弱さがあります。米国が「自動化+鉄道直結+脱炭素」をまとめて進める姿は、日本の港湾が取り戻すべき競争軸を映し出しています。

INFRA HEROES視点:港湾整備は、岸壁やクレーンといった「港の中」だけで完結しません。鉄道・道路・内陸ターミナルまで含めた一体設計こそが、荷主に選ばれる港の条件です。電動化による脱炭素、自動化による省人化、そして鉄道シフトによる強靱化——この3点を同時に満たせるかが、日本の港湾の次の10年を決めます。

出典:Inbound Logistics「Ports in Motion: 11 Infrastructure Projects Shaping U.S. Supply Chains」(https://www.inboundlogistics.com/articles/ports-in-motion-11-infrastructure-projects-shaping-u-s-supply-chains/)/SC Ports Authority、Journal of Commerce各報道を参考に編集部が独自構成。

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