COLUMN / INFRA HEROES

米国データセンターが電力網を限界に追い込む─日本のインフラ業界に迫る「自家発電シフト」

米国データセンターが電力網を限界に追い込む─日本のインフラ業界に迫る「自家発電シフト」

米オレゴン州の公共放送OPBが2026年4月28日に報じた話が、データセンター業界の関係者の間で静かな波紋を広げています。米国の電力会社や送電網運営者は、AIデータセンターの建設計画があまりに早く動くため、電力供給の長期計画そのものが立てられなくなっているというのです。米北西部6州だけで2030年までに9ギガワット規模の電力不足が見込まれているとされ、これは原発10基分近い容量に相当します。

需要予測が当てにならない時代

従来、電力会社は数十年先の需要を比較的高い精度で予測できました。住宅や工場の電力消費は緩やかに伸びるからです。ところが、ハイパースケーラーと呼ばれる大手クラウド事業者は、1棟あたり100MW級のAI訓練クラスターを矢継ぎ早に立ち上げています。米調査会社の試算では、米国のデータセンター電力需要は2030年まで年平均15%という驚異的なペースで伸びる見通しです。

結果として何が起きているか。送電線の接続待ち列(インターコネクション・キュー)が数年単位で詰まり、変圧器など重電機器のリードタイムも長期化しています。ITハードウェアの確保より、電源確保のほうが難題になった──これが今の米国業界の共通認識です。

「グリッド離れ」が始まっている

面白いのは事業者側の動きです。米国の業界レポートによれば、2026年初頭の時点で新設計画中のデータセンター容量のうち約30%が、ガスタービンや燃料電池などのオンサイト発電を前提にしているといいます。1年前はほぼゼロだった数字です。送電網の増強を待っていられないなら、自前で発電する──これが米国における現実解になりつつあります。

日本のインフラ業界への示唆

翻って日本でも、北海道や千葉、京都など各地で生成AI向けデータセンターの誘致が進んでいます。電力10社の託送計画は数年単位の見通しを前提に組まれていますが、AI需要の急増は同じ種類の不確実性を持ち込む可能性が高いと見ていいでしょう。

建設・電気工事の現場から見れば、特高変電設備の納期、用地選定における電源近接性、そしてGTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル)やSOFC(固体酸化物形燃料電池)といったオンサイト発電の施工ノウハウが、近い将来の競争力を決める要素になりそうです。米国で先行している「電力ボトルネック」は、いずれ日本のゼネコン・サブコンの仕事の取り方も変えていくはずです。今のうちに動向を押さえておきたいテーマです。

出典:OPB -「Data center uncertainty is making power grid planning difficult, experts say」(2026年4月28日)
https://www.opb.org/article/2026/04/28/data-center-uncertainty-making-power-grid-planning-difficult/

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