COLUMN / INFRA HEROES

「税金は下がったんだ、運賃も下げろ」──軽油の暫定税率は消えたのに安くならない夏、埼玉の運送社長が“値下げ要求”をはね返す三つの盾

「税金は下がったんだ、運賃も下げろ」──軽油の暫定税率は消えたのに安くならない夏、埼玉の運送社長が“値下げ要求”をはね返す三つの盾

「軽油の税金、4月に下がったんだろ。うちの運賃も、そろそろ見直させてもらうわ」——荷主からそう切り出されて、言葉に詰まった埼玉の運送社長は、あなただけではないはずです。ダンプを回す土木・解体の会社でも、同じ話が持ち上がっています。ですが、この要求、はね返す根拠があります。

「廃止された」のに、なぜ軽油は安くならないのか

2026年4月1日、軽油引取税に半世紀上乗せされてきた旧暫定税率17.1円/Lが、ついに廃止されました。税率は32.1円から本則の15円へ下がった計算です。ところが現場の給油伝票は、ちっとも軽くなっていません。カラクリは二つ。政府が配っていた17.1円の補助金も同じ日に終了し、減税分とほぼ相殺されたこと。そして中東情勢による原油高です。2026年7月時点の軽油の全国平均は178円台/L。つまり「税金は下がったが、財布は痛いまま」が実態です。

荷主の“値下げ要求”をはね返す三つの盾

一つ目は、国の後ろ盾です。国土交通省・中小企業庁・公正取引委員会の三者は連名で、燃料価格の下落を口実にした一方的な運賃引下げ要求を明確に禁じています。「実際は下がっていませんよね」と伝票を見せれば、それが盾になります。二つ目は、標準的運賃と燃料サーチャージ。燃料代を運賃本体と切り離し、単価に連動させる仕組みを契約に入れておけば、相場が動くたびに揉めずに済みます。三つ目は、数字の記録です。毎月の軽油単価を書面で残し、上がったときにこそ堂々と転嫁を申し入れる。感覚ではなく事実で交渉するのが、値決めの主導権を握る近道です。

足場や解体、ダンプを持つ土木の会社も、重機と自社便の軽油は同じ理屈で守れます。「安く請けたら負け」——これはINFRA HEROESが何度でも言い続けたい一線です。税制の話は難しく見えて、要は「うちのコストは、うちが説明する」という当たり前を通すこと。今日の伝票一枚が、来年の一台分の利益を守ります。社長、下を向かず、数字で殴り返しましょう。

出典:資源エネルギー庁「ガソリン・軽油の暫定税率(当分の間税率)の廃止」、東京都主税局「軽油引取税の当分の間税率の廃止について」

次はあなたの物語を。

取材依頼・掲載相談はこちらから。

取材依頼する