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「求人を出しても、電話が鳴らない」──埼玉の社長が、金をかけずに若手を“惹きつけて、辞めさせない”三つの手

「求人を出しても、電話が鳴らない」──埼玉の社長が、金をかけずに若手を“惹きつけて、辞めさせない”三つの手

「求人を出しても、電話が一本も鳴らない」──そんな夏を、埼玉の社長なら一度は経験しているはずです。求人票を出せば人が来た時代は、もう戻ってきません。建設の職人も、トラックのドライバーも、そもそも取り合いになっている。今日は制度の話ではなく、金をかけずに若手を「惹きつけて、辞めさせない」ための現場の一手を、社長目線でお伝えします。

まず現実を数字で押さえます。建設の求人はいま異常な売り手市場で、2025年平均の有効求人倍率は建築・土木・測量の技術者で5.64倍、躯体工事(とび・鉄筋・型枠)にいたっては7.92倍。求職者一人を、七、八社が奪い合っている計算です。就業者は約480万人まで減り、ピークの1997年(685万人)から210万人も失われたまま戻りません。しかも55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下はわずか11.7%。十年後には現場の主力が一斉に引退します。

さらに厄介なのが「入っても続かない」こと。新規学卒者の就職後3年以内の離職率は、建設業で高卒41.4%、大卒30.5%。せっかく採った若手の三、四割が三年で辞めていく。採用難と早期離職、この二重苦が現場を締め上げているわけです。

明日からできる、三つの一手

一つ目は、採用を「募集」から「発信」に変えること。求人サイトに載せて待つのではなく、自社の現場のリアルを見せにいく。足場が組み上がる瞬間、若手が重機を動かす姿、解体で一棟が消える迫力──スマホ一台で撮ってSNSに上げるだけで、同業他社との差になります。若者は給料の額より「ここで働く自分が想像できるか」で選ぶ。カネはほぼかかりません。

二つ目は、「入って半年」を設計すること。辞める若手の多くは最初の数か月でつまずきます。誰が教育担当か、何を任せ、いつ声をかけるか。これを紙一枚で決めておくだけで定着は変わります。運送なら初回同乗の回数、足場・解体なら安全教育の順番を、社長が言語化しておく。

三つ目は、その努力にカネを付けること。国の「人材確保等支援助成金(建設分野)」は2026年4月の改正で“定着助成”が新設され、魅力発信から育成・定着まで一体で取り組み、新規入職者が6か月定着すれば一人あたり42万円が上乗せされます。上限は年間126万円(3名まで)。中小建設事業主なら経費の3/5前後が助成対象で、雇用管理研修を受けさせれば一人日額9,500円の加算もあります。「どうせやる採用と教育」に、国が金を乗せてくれる制度です。

人が来ないのは、あなたの会社が悪いからではありません。業界全体が椅子取りゲームの最中です。だからこそ、現場のかっこよさを自分の言葉で発信し、入った一人を大事に育てた会社だけが、次の十年を勝ち残る。埼玉の現場は、誇れる仕事の宝庫です。その誇りを、まず若い一人に伝えることから始めましょう。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」「新規学卒就職者の離職状況」、国土交通省「建設業を取り巻く現状」、厚生労働省「人材確保等支援助成金」

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