工程が一日ずれた。昔なら「今週の土曜出て、残業で巻けばいい」で片づいた話が、今は片づきません。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が入り、原則は月45時間・年360時間。特別な事情があっても、休日労働を含めて複数月平均で80時間以内、単月100時間未満が上限です。違反すれば6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、そして公共工事の受注にも響く。埼玉で住宅や土木を回す社長にとって、これは「働き方の話」ではなく「受注と利益の話」になりました。
“2026年問題”とは、制度ではなく実態が問われる段階のこと
2024年は「とりあえず就業規則を直した」で済んだ会社が多かった。ですが2026年の今は、実際に現場が回っているかが問われる段階に入っています。残業で調整する前提が崩れたぶん、工期どおりに終わらせるには人を増やすしかない。ところが若手は来ない、単価は資材も労務も上がっている。しかも公共工事の世界では、国交省の直轄工事で「4週8休以上」=現場閉所率28.5%以上が当たり前になり、休みを取らせる現場が評価される流れです。休ませないと人が採れず、休ませると工期が延びる。この板挟みが2026年問題の正体です。
明日から効く、三つの手
一つ目は工程の前倒しと平準化。ケツから逆算し、天候リスクの高い梅雨・真夏・年度末に余裕を先に積む。足場・解体のように段取りが命の業種ほど、着工前の一週間で勝負が決まります。二つ目は現場閉所の“見える化”。土曜を交代で閉める、日曜は全現場止める、とルールを紙一枚で貼り出す。運送なら配車、土木なら重機のダブつきを減らせて、休みが利益を生みます。三つ目はDXで残業の芽を摘む。施工管理アプリや勤怠・日報の電子化で、事務所に戻ってからの一時間をなくす。中小の一人あたり残業は、この“戻り作業”に相当額が隠れています。
休むことは、サボることではありません。休める現場は人が集まり、人が集まる会社は次の仕事を選べる。規制を「面倒な縛り」ではなく「選ばれる会社になる基準」と読み替えた社長から、埼玉の景色は変わっていきます。まずは来月のカレンダーに、閉所日を先に書き込むところから。
出典:厚生労働省「建設業等における時間外労働の上限規制」、国土交通省「週休2日の取組」