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「頭数が足りないなら、回し方を変える」──有効求人倍率7倍超の夏、埼玉の社長が人を増やさず現場を回す三つの手

「頭数が足りないなら、回し方を変える」──有効求人倍率7倍超の夏、埼玉の社長が人を増やさず現場を回す三つの手

「これ以上、人は増やせない。でも現場は待ってくれない」。この夏、埼玉の社長がいちばん頭を抱えているのが、この一点です。2026年1月時点で、建設躯体工事の有効求人倍率は7.48倍。全職業平均の1.14倍に対して、およそ6.6倍の水準で、求職者ひとりを七社が奪い合っています。採用の蛇口はもう限界。だからこそ、頭数を増やすのではなく「今いる人数で回し切る」発想へ切り替える時期に来ています。

背景には、二つの時限爆弾があります。ひとつは高齢化です。建設業の就業者は約480万人まで減り、ピークだった1997年の685万人から210万人が消えました。しかも55歳以上が全体の36.7%を占め、29歳以下はわずか11.7%。あと10年で、現場の三人にひとりが引退していきます。もうひとつが残業の上限規制です。規制が始まって二年目のいま、「気合いで長時間」で穴を埋める手はもう使えません。人は減り、一人あたりの上限も下がる。この二重苦を、頭数を増やす発想だけで乗り切るのは、もう無理があります。

頭数ではなく「回し方」で勝つ、三つの手

一つ目は、多能工化です。ひとりの職人が二つ三つの工程をこなせれば、手待ちが消え、応援を呼ぶ回数も減ります。いきなり全員は難しいので、まずは若手ひとりに「隣の工程」を覚えさせるところから。二つ目は、工程の平準化です。繁忙期に仕事を集中させず、閑散期に前倒しできる作業――材料の段取り、書類、写真整理――を意図的に散らす。ヤマとタニをならすだけで、必要な人数のピークが下がります。三つ目は、応援ではなく「協業」です。同業の社長仲間と、忙しい時期をずらして人を融通し合う。奪い合うのではなく、貸し借りできる関係を一社でも持っておくと、夏の山場の景色が変わります。

追い風もあります。2026年は改正建設業法が施行され、キーワードは「適正な支払い」。労務費を工事費にきちんと乗せて元請に請求できる流れが、制度として整いつつあります。人が採れないなら、一人あたりの単価と生産性を上げにいく。守りではなく、単価を取りにいく夏にしましょう。現場を回してきたのは、いつだって頭数より段取りです。埼玉の社長、この夏も現場は止めません。

出典:厚生労働省 職業安定業務統計(有効求人倍率、2026年1月)、国土交通省「第三次・担い手3法」改正建設業法(2026年)

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