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「畳む」会社が、過去最多の年に──埼玉の社長が“自分の代で終わらせない”ために、今やる三つのこと

「畳む」会社が、過去最多の年に──埼玉の社長が“自分の代で終わらせない”ために、今やる三つのこと

「うちは、俺が動けるうちは大丈夫」──そう言って、後継者の話をいつも先送りにしていませんか。図面の読み方も、現場の段取りも、協力会社や元請との付き合いも、結局は社長の頭の中。元気なうちは、それでも現場は回ります。問題は、その「頭の中」を誰にも渡せないまま、ある日ぷつりと止まる瞬間が来ることです。

数字は、もう待ったなしの段階に来ています。東京商工リサーチによると、2025年の建設業の「休廃業・解散」は1万283件と、調査以来はじめて1万件を超えました。全産業の休廃業のなかでも建設業が最も多く、約15%を占めます。倒れたのではなく、続けられずに自ら店じまいを選んだ会社が、これだけあるということです。帝国データバンクの集計でも、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の建設業倒産は2041件と過去10年で最多。後継者が見つからないことが引き金となる「後継者難倒産」も、業種別で建設業が最も多い結果でした。人手不足や資材高だけでなく、「継ぐ人がいない」こと自体が、いまや会社を畳む大きな理由になっています。

「いつか」では、間に合わない

承継には、思った以上に時間がかかります。息子や番頭格の職人に継がせるにしても、見積もりの勘所、銀行や元請との関係、許認可や経営事項審査の引き継ぎまで含めれば、3年から5年は見ておきたいところ。土木や解体のように、重機・許可・有資格者がそろって初めて成り立つ商売ほど、引き継ぐ中身は重くなります。70歳になって「そろそろ」では遅い。60代に入ったら、もう動き始める時期だと考えてください。

では、この夏から具体的に何をするか。第一に、頭の中を「紙」にすること。協力会社の一覧、単価の決め方、得意先ごとの注意点を一冊にまとめるだけで、承継の難易度は大きく下がります。第二に、選択肢を社内に限定しないこと。親族や社員に適任がいなければ、同業へのM&Aで従業員と看板を残す道もあります。足場や運送のように、人と車両が資産そのものという商売は、第三者承継との相性も決して悪くありません。第三に、国の制度を使うこと。「事業承継・M&A補助金」は2025年度(令和7年度)補正予算でも継続され、設備投資やM&Aにかかる費用を補助する枠が用意されています。専門家への相談費用が対象になる枠もあるので、まずは商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センターの無料相談から始めるのが現実的です。

会社を畳むのは、いつでもできます。難しいのは、残すこと。あなたが現場で積み上げてきた信用と技術は、たたんでしまえばそれっきりですが、誰かに渡せば次の30年を生きます。今日、後継者候補の顔をひとり思い浮かべるところから始めましょう。それが、自分の代で終わらせないための、確かな第一歩です。

出典:東京商工リサーチ「2025年度の『後継者難』倒産」、帝国データバンク「倒産集計 2025年度報」、中小企業庁「事業承継・M&A補助金」

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