COLUMN / INFRA HEROES

米国の小型原子炉、ついに「建設許可」審査へ──「2040年代運転」を掲げる日本は間に合うか

米国の小型原子炉、ついに「建設許可」審査へ──「2040年代運転」を掲げる日本は間に合うか

米国の小型炉、「計画」から「建設許可」へ

米国で小型モジュール炉(SMR)が、構想段階から現実の認可手続きへと動き出しました。原子力規制委員会(NRC)は2026年5月、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に設置される小型微小炉の建設許可申請を正式に受理。商用の微小炉が建設許可の審査に入るのは米国で初めてとされ、NRCは2026年中に最初の商用SMRの建設許可判断を下す見通しです。

後押ししているのは、AIとデータセンターの急拡大による電力需要です。大規模電源を短工期で、工場でのモジュール量産によりコストを抑えて建設できる──このSMRの特性が、逼迫する電力網への現実解として再評価されています。NuScale社の出力増強型(77MWe)設計はすでにNRCの承認を得て、提携先は地域電力会社と最大6GW規模の展開協議に入っています。

「2040年代運転」の日本は間に合うか

日本も第7次エネルギー基本計画とGX方針で「次世代革新炉の開発・建設」を掲げ、経済産業省は2030年代の建設着手、2040年代の運転開始を目標としています。日立GEのBWRX-300、三菱重工の小型PWRなど技術の蓄積は決して劣りません。ただ、米国がすでに「建設許可の審査」という具体段階にあるのに対し、日本はなお制度設計と立地調整の入口にいます。差を生むのは技術力より、許認可の速さと需要側の切迫感です。半導体工場やデータセンターの新増設が各地で進む今こそ、規制と需要を結びつける議論を加速させる好機といえます。

INFRA HEROES的まとめ

現場視点で押さえたいのは三点です。SMRは「建設」より「製造+据付」に近く、モジュール製造拠点とサプライチェーンの立地が競争力を左右すること。許認可のスピードがプロジェクトの成否を決める時代に入りつつあること。そして量産・標準化が進めば、土木・据付・保守に求められるスキルも変わっていくこと。米国の動きは、数年後の日本の現場を映す先行指標として注視に値します。

出典:Yale Clean Energy Forum「An Analysis of Small Modular Reactors (SMRs) for Commercial Electricity Generation in the United States」(https://cleanenergyforum.yale.edu/2026/04/26/an-analysis-of-small-modular-reactors-smrs-for-commercial-electricity-generation-in-the)ほか、米国NRC・各社公表資料、経済産業省 次世代革新炉ワーキンググループ資料を参考に編集部が独自に構成。

次はあなたの物語を。

取材依頼・掲載相談はこちらから。

取材依頼する