COLUMN / INFRA HEROES

米国の住宅着工が約6年ぶり低水準に急減──「住宅不足なのに建たない」米国と空き家900万戸の日本

米国の住宅着工が約6年ぶり低水準に急減──「住宅不足なのに建たない」米国と空き家900万戸の日本

米国で住宅建設が急ブレーキを踏んでいます。2026年5月の住宅着工件数は年率118万戸まで落ち込み、約6年ぶり(2020年以来)の低水準を記録しました。なかでも集合住宅(マルチファミリー)は前月比で4割を超える急減と、冷え込みが鮮明です。需要が消えたわけではありません。米国は今なお約400万戸の住宅不足を抱えています。それでも「建たない」のです。

なぜ需要があるのに着工が止まるのか

背景にあるのは三つの重しです。第一に高止まりする住宅ローン金利。買い手の購買力をそぎ、デベロッパーは売れ残りを恐れて着工を絞っています。第二に建設現場の慢性的な人手不足。第三に資材高で、鉄鋼・アルミ・銅などには最大50%の関税がかかり、建設資材の物価は年率12%を超えるペースで上がっています。格付け会社フィッチも今年の戸建て着工見通しをマイナスへ下方修正しました。需要はあるのに採算が合わず、つくりたくてもつくれない——それが今の米国です。

日本との比較──同じ「逆風」、違う「理由」

日本の新設住宅着工も減少基調にありますが、理由は対照的です。米国が住宅不足のなかで着工が止まるのに対し、日本は人口減少と約900万戸ともいわれる空き家を抱え、構造的に需要そのものが細っています。一方で、人手不足(建設業の2024年問題)と資材高(円安による輸入コスト増、ウッドショックの後遺症)は日米共通の逆風です。「建てたくても採算が合わない」という現場の悩みは、太平洋を挟んで驚くほど似ています。

INFRA HEROES視点:現場が注視すべきは金利と資材価格の連動です。米国では資材の見積り有効期限が従来の90日超から30〜60日へ短縮し、流通在庫も2024年比で2〜3割薄いと報じられています。発注タイミングひとつでコストが大きくぶれる時代。早めの数量確定とサプライヤーとの値決め交渉が、これまで以上にプロジェクトの採算を左右します。

出典:Bloomberg「US Housing Starts Fall 15% in May to Slowest Pace Since 2020」(https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-06-16/us-housing-starts-drop-to-the-weakest-pace-since-2020)/米国勢調査局 New Residential Construction, May 2026

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