米国で半導体工場の建設ラッシュが続いています。メモリ大手ミクロンは2026年1月、ニューヨーク州クレイで総額最大1,000億ドル(約15兆円)の巨大工場「メガファブ」を起工しました。州史上最大の民間投資とされ、AIやデータセンター向けのDRAM(記憶用半導体)を量産する計画です。最大4棟の工場を20年がかりで建て、初号棟の稼働は2030年ごろ。CHIPS法の直接補助とニューヨーク州の優遇策が背中を押しています。
「建設そのもの」が一大産業になっている
注目したいのは、チップを作る前段階の「建設」が桁違いの規模だという点です。TSMCのアリゾナ工場は2棟目の建屋が2025年に完成し、2026年第3四半期から装置を搬入、2027年に3ナノメートル品の量産へ進みます。最初の3工場だけで6,000人の直接雇用に加え、数万人規模の建設・サプライヤー雇用を生むとされます。テキサスではテキサス・インスツルメンツが約400億ドル、アリゾナではインテルも新工場を進めており、クリーンルーム・電力・水・物流を伴う巨大インフラ案件が同時多発しています。
日本も「同じ船」に乗っている
これは日本にとって対岸の出来事ではありません。TSMCは熊本(JASM)で第1工場に続き第2工場を進め、ラピダスは北海道千歳で2ナノ品の量産を目指しています。TSMCがアリゾナで九州大学と人材育成協定を結んだように、半導体の競争は今や「人材」と「建設キャパシティ」の奪い合いでもあります。日米がともに直面するのは、工場は計画できても、それを建てる技術者・電力・水・装置サプライチェーンが追いつくか、という現実です。
INFRA HEROES視点:半導体工場は「製造業」であると同時に、土木・建築・電気・空調・配管・超純水・排ガス処理が集約された巨大インフラプロジェクトです。日本の現場にとっては、熊本・千歳という国内案件こそ、世界最先端のファブ建設ノウハウを蓄える千載一遇の機会。装置据付や歩留まりだけでなく、「いかに速く正確に建てるか」が国家競争力を左右する時代に入っています。
出典:Construction Dive「Micron to break ground on $100B New York semiconductor fab」(https://www.constructiondive.com/news/micron-break-ground-new-york-semiconductor-fab/809171/)/TSMC公式・NIST CHIPS、DataCenterDynamics(TSMC×九州大学人材協定)各報道を参考に編集部が独自構成。
