クリーンで安定した電源として、いま「次世代地熱」が脚光を浴びています。米スタートアップのFervo Energyは、ユタ州ビーバー郡で「Cape Station」と呼ぶ次世代地熱発電所を建設中で、総出力は500メガワット。第1期の約100メガワットが2026年後半から2027年初頭にかけて送電網へ電力を供給し始め、第2期の400メガワットは2028年までに加わる計画です。実現すれば、次世代型としては世界最大級の地熱発電所になります。
シェール革命の技術が地熱を変えた
従来の地熱は、たまたま熱水がたまっている特別な場所でしか使えませんでした。Fervoが用いる「EGS(強化地熱システム)」は発想が違います。高温の岩盤を水圧で割り、そこに水を流し込んで人工的に熱の貯留層を作る——シェール開発で磨かれた水平掘削や光ファイバー計測の技術を転用し、より深く高温の熱源に届かせるのです。Cape Stationでは商用ラインを大きく超える毎秒93〜120リットルの流量を達成し、掘削時間も実証段階から70%短縮したとされます。AIデータセンター向けの電力供給契約も結ばれています。
「地熱資源大国」日本のもどかしさ
ここで悔しいのが日本の現状です。日本は米国、インドネシアに次ぐ世界第3位の地熱資源国とされながら、発電容量では大きく出遅れています。有望地の多くが国立公園内にあること、温泉地との調整、長い開発リードタイムが壁になってきました。しかしEGSのような次世代技術は、必ずしも従来型の好条件地に縛られません。「資源はあるのに使えない」というジレンマを越える鍵が、米国の現場で実証されつつあるのです。
INFRA HEROES視点:次世代地熱は、石油・ガスの掘削技術と土木・プラント技術が融合する新領域です。日本には掘削・温泉・地質の知見が厚く蓄積されています。これらを次世代地熱へ転用できれば、出遅れを一気に取り戻す可能性があります。脱炭素のベースロード電源として、地熱は日本がもう一度本気を出すべきフロンティアです。
出典:Canary Media「Fervo nabs $462M to complete massive next-gen geothermal project」(https://www.canarymedia.com/articles/geothermal/fervo-investment-capital-b-cape-station)/Utility Dive、Fervo Energy公式発表を参考に編集部が独自構成。
