COLUMN / INFRA HEROES

建設業界あるある50選

建設業界あるある50選

現場の日常を笑い飛ばす——あるあるで見える職人の哲学

朝礼と安全

毎日同じKY活動を書く(危険予知活動シート)。「本日も危険がいっぱい」と毎日同じコメント。朝礼の声出しが異常にデカい。「おはようございます!」という挨拶が、近所に響き渡るレベル。新人が小さな声で挨拶すると、「もっと大きく!」と怒られる。ヘルメットの中が蒸れてたまらない。髪が汗まみれになるのは日常茶飯事。朝礼時に「本日の工事は……」と延々説明されるが、みんな聞いていない。携帯でニュースを見ている職人もいる。朝礼後すぐに現場に行かず、10分間のコーヒータイムがないと成り立たない。

休憩と飲食

休憩所の自販機が命。アクエリアスとポカリスエット、どちらを買うかで世代が分かる。弁当は5分で食べる。ゆっくり食べる人は「何やってんだ、作業に戻れ」と急かされる。誰かが毎日同じコンビニ弁当を食べている。そのコンビニ弁当の中身をクイズする遊びがある。昼食後、すぐに眠くなるのは職業病。昼寝15分で「よし、やるか」という謎のモチベーション。冬場は温かい飲み物の取り合い。ポットの蓋を開ける時の緊張感。誰が最後の一杯を飲むか、という謎の戦い。

現場での道具と作業

新人は道具の名前を覚えるのが最初の試練。「スコップを持ってこい」と言われて「どれですか?」と答えると「あれだ」と曖昧に指される。ノミやトンカチの違いが分からない新人。「ハンマー」と「玄能(げんのう)」の違いを説明するのに5分かかる。「ちょっと」が2時間の意味である。「ちょっと待ってて」と言われた新人が、1時間待たされることは珍しくない。図面と現場が違う。設計図と現物が全く異なることは「よくある話」。その時は「現場判断」という裁量で対応。電動工具を使う時、延長コードがいくつも繋がっている。その電気代は誰が払うのか、誰も知らない。

天候と仕事

雨の日は嬉しい(休めるから)。「本日は雨のため、工事中止」の朝礼を聞く時の快感。ただし給与は出ない。台風予報で「明日は中止だな」という楽観的な予想。実際には中止にならず、「なぜ来た?」と互いに疑問を持つ。猛暑日の塩タブレット争奪戦。「熱中症対策」として支給される塩タブレットが、午前中になくなる。最高気温35℃超えの時、現場で倒れる人が出ても「水を飲めば大丈夫」と誰かが言う。冬場、手袋を失う。毎日のように手袋をなくす。「新しい手袋をください」という申告は無視される。その結果、手がカチカチになる。

人間関係と序列

現場には絶対的な序列がある。職人歴が長い=発言権が強い。「俺の時代は……」という前置きで始まる言葉は絶対。親方と職人の給与差が3倍近い。なぜなのか、誰も質問しない。若い職人が意見を言うと「経験が浅いくせに」と却下される。でも「若い力が必要」という矛盾も同時に存在する。人間関係は仕事の質を左右する。気に入られた職人には「いい仕事」が回され、嫌われた職人には「つまらない仕事」が回される。飲み会は強制参加(給与に含まれない)。拒否すると「誘いに応じない奴は協調性がない」とレッテルを貼られる。

給与と福利厚生

給与は「日当」という単位。毎日が時給制という不安定さ。病欠すれば給与ゼロ。有給休暇の概念が曖昧。「休みたい」と言っても「工事が押してるから」と却下される。福利厚生は「弁当と茶」。これ以上のものは期待しない。社会保険に加入していない職人も多い。「税金」の話をすると「そんなの知らない」という返答。年金の話なんて、もってのほか。

技術と知識

年配の職人は「昔はこうしていた」という過去の方法を今でも使う。新しい工法を提案すると「俺の方が正しい」と一蹴される。ただし、その職人の方法の方が実は効率的だったりする。設計変更は日常茶飯事。「その部分、変えましょう」と急に指示される。工程表は飾り。実際の工事はいつも工程を「こなしている」という綱渡り状態。品質管理の書類は完璧だが、現場の質は不安定。書類を見ると「完璧」、現場を見ると「?」という乖離。

現場のコミュニケーション

現場での報告・連絡・相談は、しばしば「怒鳴り声」で行われる。大人数の中で「○○さん、ちょっと来て」と言っても全員が振り返る。やけに親密な呼び方。「お前」という呼び方が一般的。でも悪気はない。「お前、いいやつだな」という褒め言葉として機能している。若い職人への指導は「見て覚えろ」。説明を求めると「細かいことは気にするな」と言われる。でも後で「なぜそうしたんだ?」と質問される。先輩の真似をすることが最高の学習法。その先輩のやり方が間違っていても、それは次の現場で気付く。

ツール・機械・設備

どんなに高い電動工具でも、壊される。壊した本人は「これは元々壊れていた」と言い張る。工具の手入れを誰もしない。結果、性能が低下。新しい工具が支給されると、すぐに傷が付く。「大事に使えよ」と言っても無視される。仮設トイレは最悪。トイレットペーパーはいつもない。「あれ、もうない?」という会話が毎日。仮設トイレの扉は壊れていることが多い。掃除機代わりに圧縮空気を使う人がいる。その圧縮空気で書類が飛ぶ。クレーンのオペレーターは王様。「上から目線」が職業病。地上にいる職人が、クレーンの指示を仰ぎ見て行動する。

文化と習慣

土曜日に「日曜大工」として、また建設現場にいる職人もいる。「仕事が好きなのか、中毒なのか」は謎。「現場のご飯は最高」と言い張る職人。実際は、毎日同じようなお弁当。ただし、毎日3杯はご飯を食べる。建設現場には「噂話」という文化がある。誰かの悪口が10分で全員に広がる。工事の工程より、この「情報伝播」の方が速い。現場にいる猫や犬は「現場の仲間」。餌をやる職人がいて、いつの間にか定住する。

トラブルと対応

ケガをしても「大したことない」と言い張る。実は骨折。でも病院には行かない(給与が出ないから)。トラブルが発生した時の対応は「隠す」。上司に報告する前に、自分たちで修復しようとする。結果、余計に悪くなる。品質不良が見つかった時、「これはこういう仕様だ」と言い張る。書類では「想定外」と報告する。クレームが来た時、「いや、その部分は仕様に含まれていない」と責任回避。最後には「現場の判断です」で終わる。

展望と理想

若い職人がいなくなるのが業界の課題。でも「給与が安い、休みがない」という改善案には「昔はもっと大変だった」と返される。働き方改革で「週休2日」が浸透し始めても、「本当は仕事がしたい」と言う職人も多い。最後は「現場愛」という言葉で、全ての矛盾が帳消しにされる。つまり、建設業界の「あるある」は、業界の強さであり、同時に弱さでもあるのだ。これらのあるあるが消えた時、建設業界は成長するのか、それとも魅力を失うのか。その答えは、今後の数十年の変化の中にあるだろう。

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